日×伊 第一話


貴方だけを思って

私はここに居ます。


いつまでも

いつまでも


………そんな誓いをしたのはいつだっけ


***


フェリシアーノ君との出会いはそう。
去年のクリスマス。


『はぁ…。』


バツゲームをさせられていた私。
女装をしていました。
近所の山田さんに負けてしまったのです。

コレはコスプレ…。
と、自分に信じ込ませ
私は町を歩いていました。


『まったく、山田さんてば。』


そのままお酒、買ってきて。
なんて言われてしまいました。
もちろん私のおごりで。

重いし、財布は軽いし。
なんだか少し憂鬱でした。

そんな気分の時、
貴方に会いました。


『君、かわいいね!お茶しない!?』

『……。』

『あれっ!?無視?おーい!』

『私に言っているのですか?』

『うん、そうだよ!』


ニコニコの笑顔で私に笑いかける貴方。
私の憂鬱気分も少し軽くなりました。


『俺はフェリシアーノ!君は?』

『ほ…本田菊と申します。』

『キクね!んーと…声が低いけど菊は男なの?』

『は…はい。只今バツゲーム中なのです。』

『すごいね〜女の子にしかみえないもん!』


褒めて貰いましたがあまり嬉しくありません。
私は日本男児ですからね。


『よし、菊!お茶しよう!』

『はぁ、善処します。』


私は山田さんにお酒を届けなければ…。


がし


『え…ちょっと…。』

『よし、行っくよー♪』


手をつかまれてしまいました!!!
そのまま走り出すフェリシアーノ君。
ちょっと!
痛いです!


『菊は何が好き?』

『えと、塩じゃけといくらと…あ、お醤油を使った料理なんかも…。』

『ヴェ〜、なんかお塩がいっぱいだね。』

『あぁ…だから高血圧の恐れが…。』

『じゃあ、やめなきゃ!』

『やめれないものですよ。フェリシアーノ君はできますか?』

『俺もパスタやめろって言われてもできない!!』

『くすっ、じゃあ一緒じゃないですか。』


パスタが好きなんですね。
今度作ってあげましょうか。
なんて考えてる私がいて。
必死にその考えを捨てようとした。
……私には待つべき人が居る。


『…菊?どうかした?』

『はっ…なんでもありません。』

『そう?ならいいけど。』


そのことを深く聞かないことに驚きました。
あの人なら必ず聞くにきまってる。


【なんでもないわけないだろ?ちゃんと教えろ。】
【俺たちの間に隠し事はなしだ。】
【それをわかっている上でのことか?】


『やめてくださいっ!!!』


『…あ。』


大声を出してしまいました。
フェリシアーノ君や周りの方も驚いています。


『す…すみません…。』

『ヴェ〜、そんなにお茶嫌だった??』

『いえ、違います。行きましょうか。』

『俺、無理矢理は嫌だよ。』

『大丈夫ですよ。』

『……や〜めたっ。』

『え?あの…気を悪くされたなら謝ります。』

『違うよ!!全然悪くなってないよ?』

『じゃあなんで…。』

『今日は心の中に別の人が居るみたいだからね。
 また今度、居ないときにまた会おうよ!』

『!!』

『それに……』


「重いものを持ってるのに気づかないなんてだめだなぁ、俺」
なんていいながら私の荷物を持ってしまい、


『家まで持ってってあげる!!』


なんてニコニコしながら言いました。
申し訳ないな、と思う半面
まだ一緒にいたい、なんていう気持ちがありました。

今ぐらい素直にいてもいいかもしれない。

と、自分を甘やかして持ってって貰うことにしました。


***


『ここです。』

『へぇ〜おっきいんだね〜。』

『そんなことないですよ。』

『ふぅーん……。』


『ありがとうございます。』


お礼を言い、別れようとした時

フェリシアーノ君が……抱きしめてきました。

ぎゅっと強く、息が苦しくなるほどに。

彼は身長が高く私はすっぽりと包まれていました。

自分でも何故抵抗しないのか不思議で仕方がなかった。

このときから私の気持ちは揺れ動いていたのかもしれない。


『ふぇ…ふぇりし…あーの…くんっ///!?』

『実はさ…』

『は…い///?』

『荷物をもってあげたの、親切じゃないんだ。』

『え…?』

『菊ん家が…知りたかっただけ。』

『……。』

『だって…また話したいから…さぁ…///』


そういって顔を赤らめるフェリシアーノ君。
その顔が可愛かった。

でも、そんな顔をみてるとあの人を思い出して
胸が痛んだ。


『また来ても…いい?』

『えぇ、もちろん。…その前に離して下さい///』

『…なんで?』

『いや…だって…。
 (責任をとってもらわなくてはならなくなってしまいますっ…)』

『俺の国ではハグは挨拶みたいなものだよ〜。』

『そうなんですか、でも離しましょうか。』

『は〜い、了解でありま〜す。』


挨拶…ですか。
なんかちょっと残念に思えてくるのは
何故、
なんでしょうか。


***


第一話*END